お役立ち情報

【経済産業省が策定】ビジネスケアラーの両立を支援するガイドラインを解説!

経済産業省から2024年3月「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」が公表されました。

介護と言うと、これまで個人の問題として捉えられることが多かったように思いますが、ビジネスケアラーが増えていく現代において、いよいよ「仕事を軸として介護と両立することについて、企業が支援すべき」として示されたと言えます。

この記事では、今回のガイドラインができた背景や内容、実際に取り組む時のポイントについて解説していきます。

目次

ビジネスケアラーとは

経済産業省が策定した「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」について

「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」のポイント

管理職の視点で見たガイドラインのポイント

まとめ

ビジネスケアラーとは

ビジネスケアラーとは、仕事と介護の両立をしている人のことです。
これから2030年まで増加傾向にあり、経済産業省は、2030年時点で、家族を介護する人の約4割である318万人がビジネスケアラーになると予測しています。

国や企業が両立を支援し、ビジネスケアラーが安心して仕事を続けることができなければ、生産性が低下することはもちろん、望まない介護離職が増えることになりかねません。企業にとっても、多大な経済損失が出てしまうでしょう。

経済産業省が策定した「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」について

2024年3月26日、経済産業省は「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」を発表しました。

このガイドラインは、より多くの企業がビジネスケアラー支援に取り組めるように策定されました。 企業経営において仕事と介護の両立支援が必要となる背景や意義を伝えるとともに、実際にどのように支援を進めればいいのかということがまとめられています。

これまでの政府の取り組みとガイドラインの意味

晩婚化・少子化が進んでいる現代において、ビジネスケアラーの課題は避けて通れません。

30代〜50代の働き盛りと言われる年代のビジネスケアラーが増えれば、パフォーマンスが低下するだけではなく、望まない介護離職が増える可能性もあります。

介護は、ともすると10年以上の長期間にわたる場合もあります。その期間をどのように過ごし、どのように働き続けるのか、国や企業が仕事と介護の両立を支援することは必須となってきました。

まず、政府のこれまでの取り組みを見てみましょう。

2016年、閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」の目標のひとつとして、

介護離職ゼロが掲げられ、介護職の処遇改善や働き方改革などの施策が進められました。

厚生労働省では「仕事と介護の両立支援 ~両立に向けての具体的ツール~」「両立支援のひろば」「介護休業制度」といったサイトで、対応の仕方などの情報をまとめています。

一方、今後の変化として大きいのは、2025年4月1 日から段階的に「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下、育児・介護休業法)」の改正が施行されることです。今回の改正では、両立支援制度等について、従業員に対して個別の周知・意向確認を行うことや、早期・事前に情報提供することが義務付けられるなど、仕事と介護の両立支援制度の強化が掲げられています。

参考:厚生労働省 育児・介護休業法について

そうした中で策定された今回のガイドラインは、どのような意味を持つのでしょうか?

経済産業省は、2023年11月から「企業経営と介護両立支援に関する検討会」を開催し、介護をしている従業員の実情について調査しました。

株式会社チェンジウェーブグループの代表取締役社長・佐々木裕子は、この検討会の委員を務め、ビジネスケアラーの現状などを伝えてきました。

その結果、従業員の実情として示されたのが「自身の介護状況開示への消極性」「介護の状況が多様であること」「肉体的負担に加えた精神的負担の増加」の3点です。

この実情を踏まえ、ガイドラインでは、全企業が取り組むべきアクションとして「経営層のコミットメント」「実態の把握」「情報発信」の3つのステップを提示しています。

さらに、企業がそれぞれの実情やリソースに応じて独自に取り組むことが望まれる事項として「人事労務制度の充実」「個別相談の充実」「コミュニティ形成」「効果検証」の4点が挙げられました。

「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」のポイント

では、公表されたガイドラインのポイントをご紹介します。

経営層に向けた強いメッセージである

企業経営の決定権は経営者にあります。経営層にとって仕事と介護の両立支援の優先度が低い場合、当然、企業での取り組みは進みにくくなります。
このため、ガイドラインは経営者に向けた内容となっており「経営層のコミットメントは不可欠である」というメッセージが込められているのです。

企業が取り組むべきことを具体的なステップとして示している

経済産業省「企業向け仕事と介護の両立支援ガイドライン」より

ガイドラインにステップとして示された、企業が取り組むべきことを見てみましょう。

STEP1:経営層のコミットメント

● 経営者自身が知る
「介護」を知り、企業への影響の可能性を認識する
● 経営者からのメッセージ発信
仕事と介護両立支援推進のポリシーを発信する
● 推進体制の整備
担当役員・担当者を決め、管理者層を巻き込む

STEP2:実態の把握と対応

● アンケート・聴取
社内の介護に関する状況を把握する

● 人材戦略の具体化
仕事と介護を両立しようとする従業員のための人材戦略を立てる

● 適切な指標の設定
仕事と介護の両立について適切な指標を設定する

STEP3:情報発信

● 基礎情報の提供
介護についての基礎情報をプッシュ型で提供する
● 研修の実施
管理者向けもしくは全社員向けにリテラシー向上の研修の機会を設ける
● 相談先の明示
社内での相談先やプロセスを社員へ示す

企業独自の取り組みの充実(企業の実情・リソースに応じて検討・実施)

● 人事労務制度の充実
● 個別相談の充実
● コミュニティ形成
● 効果検証

このほかにも、顧客や投資家、従業員家族、従業員候補といったステークホルダーに対して発信したり対話をしたりすることや、自治体や企業などが提供する介護資源にアクセスするなど、地域と連携して両立体制を構築することも推奨されています。

管理職の視点で見たガイドラインのポイント

では、実際に企業で取り組みを実施していくために重要な点を考えます。
企業によって異なる課題はあるかもしれませんが、多くの企業でキーとなる「管理職」にとって難しいと思われるポイントについて考えていきましょう。

「実態把握」をどのように行うか

仕事と介護の両立支援をしていく上で、実態把握は欠かせません。

本当に役立つ、助けになる支援をするためには、実際に介護をしている従業員がどう思っているのか、どういう支援を必要としているのかということを知る必要があります。

しかし、現状、ビジネスケアラーの多くは、自分の介護事情を知られたくないと思ってしまうことがあります。

これからのキャリアに影響するのではないか、必要以上に周りの人に気を遣わせてしまうのではないか、と考えてしまうからです。本当に困っていることを話さず、自分を追い詰めてしまうこともあります。

介護をしている従業員に本音を話してもらう機会、関係性を普段から作っておく、

ビジネスケアラーに対する他の従業員の思い込みや偏見をなくすための教育を行う、

そもそもビジネスケアラーだけでなく、メンバー同士がプライベートに関わることも含めて話せる雰囲気を作っていく…

こうしたことが非常に大切になってくるでしょう。 定期的なアンケートや面談などで、状況を報告しやすくすることも有効です。

プッシュ型での支援

プッシュ型の支援とは、企業側が能動的に情報やサービスを提供していく支援のことです。従業員が努力をして情報を探しに行かなくても、支援を受けることができる状況にすることが大切でしょう。

ビジネスケアラーはとにかく時間がありません。いつも時間に追われてしまい、自分で情報をとりにいくことが難しくなってしまいます。

また、「まだ自分は大丈夫だ」と思う無関心層も少なくありません。

従業員が情報を求めてアプローチしなければ支援が受けられない「プル型」では、情報を届けたい相手に届けることは難しくなります。 申請が不要な給付や制度があることを伝える、介護中の従業員に管理職から利用できる制度を提案するなど、プッシュ型で情報提供できるよう取り組むことで、より充実した両立支援になります。

まとめ

ビジネスケアラーが安心して、また、働きがいを持って仕事と介護を両立していくためには、企業の支援が不可欠になってきました。

今回、経済産業省が策定した「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」の内容を把握し、そのステップに沿って取り組んでみてはいかがでしょうか。 また、その大前提として、「仕事を軸として介護と両立する」「自分だけで抱え込もうとしない」「事前に、そして早めに、知識を得ておくことが後々の負担をとても軽くすることができる」といった正しいメッセージをぜひ企業側から出されることをお薦めします。

ビジネスケアラー支援なら
LCATにお任せください

診断・ラーニング体験
研修・セミナー体験はこちら